共溶媒分子動力学 (mixed-solvent molecular dynamics; MSMD) シミュレーションエンジンと、解析ツールをまとめたリポジトリ
GROMACSを用いたMSMDを自動的に行うためのシステム。
このgithubにはDockerファイルが含まれており、dockerを用いることで実行可能な環境を容易に作ることができる。
中で利用されている特筆すべきアプリは以下の通り。
- python 3 (
$PYTHON
)- 利用しているライブラリは
.devcontainer/Dockerfile
を参照のこと。
- 利用しているライブラリは
- AmberTools 20 (
$TLEAP
,$CPPTRAJ
) - Gromacs 2021.5 (
$GMX
) - packmol 18.169 (
$PACKMOL
)
タンパク質、共溶媒(プローブ)分子、シミュレーションプロトコルを定義したyamlファイルを用意し(例えば example/example_protocol.yaml
)、
以下のコマンドを実行することで系の構築からシミュレーションの実施、確率密度マップ (spatial probability distribution map; PMAP) の作成を自動的に行う。
./exprorer_msmd example/example_protocol.yaml
なお、このシミュレーションの手順は
- MSMDの系を作成する preprocess
- GROMACSを用いたシミュレーションを実施する simulation
- シミュレーション結果からPMAPファイル等を作成する postprocess
の3つに分かれており、それぞれは --skip-preprocess
、 --skip-simulation
、 --skip-postprocess
で飛ばすことができる。
./exprorer_msmd
を実行すると、出力ディレクトリの中に独立試行ごとに system
フォルダが作成される。この中に、[プロジェクト名]_woWAT_10ps.pdb
など、いくつかのPDBファイルが作成されるが、これがMSMDのトラジェクトリである。PyMOLで当該ファイルを開くことで、シミュレーション中のタンパク質とプローブの動きを見ることができる。(水分子は除外されている)
タンパク質表面のどの部分にプローブ分子が存在しやすいか?という ホットスポット探索を行う。
./protein_hotspot example/example_protocol.yaml
これによって、出力ディレクトリ直下に maxPMAP_[プロジェクト名]_nV.dx
などのOpenDXフォーマットのボクセルが作成される。このボクセルは、入力タンパク質構造に重なるように作成されている。これはPyMOLで読み込むことができ、
PyMOLの isomesh
コマンドを用いることで描画することができる。
実行結果は以下のようなものになる(これは複数のプローブの計算結果を複数重ね合わせて表示している)。
EXPRORER1 はこの結果を用いて、ボクセル間の類似度を計算、プローブ同士の類似度を計算している。
プローブ分子周辺残基環境2を取得する ( probe_profile
)
前述のホットスポット解析とは反対に、プローブ分子の周囲にどのような残基が存在しやすいか?を描画する。
./protein_hotspot example/example_protocol.yaml
これによって、出力ディレクトリ直下に [プロジェクト名]_[プローブ名]_mesh_anion.dx
など8種類のOpenDXフォーマットのボクセルが作成される。これは alignedresenv_[プロジェクト名].pdb
に重なるように作成されており、これもPyMOLの isomesh
コマンドで描画できる。
すべての設定は yaml ファイルに記述されている。 (工事中)
Footnotes
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Keisuke Yanagisawa, Yoshitaka Moriwaki, Tohru Terada, Kentaro Shimizu. "EXPRORER: Rational Cosolvent Set Construction Method for Cosolvent Molecular Dynamics Using Large-Scale Computation", Journal of Chemical Information and Modeling, 61: 2744-2753, 2021/06. DOI: 10.1021/acs.jcim.1c00134 ↩
-
Keisuke Yanagisawa, Ryunosuke Yoshino, Genki Kudo, Takatsugu Hirokawa. "Inverse Mixed-Solvent Molecular Dynamics for Visualization of the Residue Interaction Profile of Molecular Probes", International Journal of Molecular Sciences, 23: 4749, 2022/04. DOI: 10.3390/ijms23094749 ↩